手術(眼科)について
実施している手術
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白内障手術
眼球の中の水晶体と呼ばれるレンズがあり、白内障になると水晶体が固くなり白く濁るため、眼がかすんだりまぶしさを感じるようになります。点眼、内服薬による治療は困難なため手術を行い症状の改善を目的とします。
白内障手術の方法
当院では白内障手術を超音波水晶体乳化吸引術+眼内レンズ挿入術という、現在最も代表的な手術法で行っています。濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し、人工のレンズ(眼内レンズ)を入れるという方法です。3mm程度の切開部位より超音波プローブを挿入して、水晶体を乳化吸引し、残った水晶体嚢のなかに眼内レンズを挿入します。挿入する眼内レンズは、小切開から挿入可能な折りたたみレンズを主に使います。麻酔は、点眼麻酔やテノン嚢下麻酔などの局所麻酔を行い、およそ10~20分程度で手術は終了します。
2
緑内障インプラント手術
エクスプレス®
点眼・内服薬では眼圧(眼の硬さ)コントロールが困難であり、視野障害(見える範囲が狭くなる)が予想されるため眼圧を下げる手術です。
当院では緑内障インプラント手術を施行しております。通常の緑内障治療方針は点眼ですが、点眼治療でも視野障害が悪化すればレーザー治療や緑内障手術を施行します。場合によっては点眼より有効な眼圧下降が得られます。白内障手術のように視力がよくなる手術ではありませんが、長期的に視野を維持し失明防止をはかるには大変重要な治療です。
緑内障初期
緑内障中期
緑内障後期
緑内障における視神経乳頭陥凹の進行する様子を示しています。(N;鼻側、T;耳側)
エレックス(株)から引用
3
硝子体手術
眼球の中には硝子体という透明なゼリー状の組織があります。この組織が炎症や出血などにより混濁したり網膜を引っ張ったりして網膜剥離となったり様々な疾患を引き起こす原因となります。手術を行うことによって炎症や出血を治療する事を目的とします。
硝子体手術とは、眼の奥にある硝子体と呼ばれる部分に対して実施する手術全般を指します。硝子体とは、水晶体(ものを見るためのレンズ部分)の後ろに存在する、コラーゲンからなるゼリー状の組織です。眼球の内側はこの硝子体で満たされており、硝子体があることで眼球の丸い形を保ち、外から圧力や衝撃がかかったときにそれらを分散させる役割を担っています。
硝子体手術は、糖尿病網膜症や網膜剥離など、網膜になにかしらの異常が起きている際に行う、網膜を守るための手術ともいえます。
新生血管が破れて硝子体に出血を起こす硝子 体出血や、網膜が眼底から剥がれる網膜剥離が 起きた場合には、硝子体手術が必要となります。
眼球内の圧力を保つために灌流液を注ぎ ながら、吸引カッターで硝子体内の出血を 吸い取ったり、剥がれた網膜を元に戻した りします。 眼内は暗いので、照明ファイバーで照らし ながら手術します。
4
硝子体内注射
硝子体内注射は、近年眼科で行われるようになった治療法です。
適応疾患
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滲出型加齢黄斑変性
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近視性脈絡膜新生血管
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網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
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糖尿病黄斑浮腫
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血管新生緑内障
糖尿病黄斑浮腫の治療
黄斑浮腫を改善することで、視力回復を目指すことができます。薬物による治療法と外科的な治療法があります。薬物による治療法は、網膜や黄斑を傷つけることなく、浮腫を抑えます。外科的な治療法には、レーザー光凝固と硝子体手術があります。場合により複数の治療法を組み合わせて行うこともあります。
薬物による治療法
・VEGF阻害薬:血管から血液や血液成分の漏れを抑制する薬を眼内に注射します。
外科的な治療法
・レーザー凝固術:網膜を焼き固めて水分をためないようにします。
・硝子体手術:硝子体を切除することにより、網膜への牽引(けんいん)を除去したり、酸素の供給を高めます。
糖尿病黄斑浮腫の薬物療法
VEGF阻害薬(眼内への注射)
糖尿病黄斑浮腫は、網膜内の毛細血管から血液成分が漏れ出すのを促すVEGF(血管内皮増殖因子〈けっかんないひぞうしょくいんし〉)という物質によって引き起こされます。VEGF阻害薬療法は、このVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することで血液成分の漏れを抑制する治療法です。
自覚症状の例
黄斑浮腫では、視野の真ん中が影響を受けます。進行に伴って様々な症状があらわれますが、一番多く見られるのが。かすみ眼です。そのほか、視力の低下、変視症、コントラスト感度低下等があります。
かすみ眼
(見たい部分がかすんで見える)
変視症
(見たい部分がゆがんで見える)
コントラスト感度低下
(見たい部分が不鮮明に見える)
抗VEGF剤硝子体内注射の手順
1
注射前の点眼
1. 散瞳します。
2. 局所麻酔した後、広範囲抗菌点眼剤を投与します
5
消毒液の洗浄
必要に応じて、適宜、生理食塩液で洗浄します。
2
眼周囲の消毒
眼周囲皮膚、眼瞼縁や睫毛に消毒液を塗布し、滅菌ドレープで被覆します。
6
硝子体内注射
注射部位とは反対側の方向に眼を向けるように患者さんに指示します。
角膜輪部の3.5〜4.0mm後ろの部分から、①水晶体、②水平直筋付着部位の近傍を避けて、眼球の中心に向けて眼科用針を刺入します。
3
開 瞼
滅菌開瞼器で開瞼します。
7
抗VEGF剤の注入
注射液0.05mlを硝子体内にゆっくり注入します。
次回以降の投与では同一部位に繰り返し注射しないよう、前回の注射部位からずらして注射します。
4
結膜嚢内の消毒
消毒用点眼液を投与し、しばらく放置します。
8
注射前の点眼
散瞳します。
局所麻酔した後、広範囲抗菌点眼剤を投与します
気になる点やご質問があれば、お気軽にご相談下さい。
手術についてご不明な点などございましたら、当院までお気軽にご相談下さい。